著者と作品概要
著者:細谷 功
出版社:PHP研究所
ジャンル:ビジネス思考・スキルアップ
概要と内容解説
概要:
『具体⇄抽象トレーニング』は、前作『具体と抽象』で提示された理論をさらに深掘りし、日常やビジネスで役立つ思考力を高めるための具体的な問題集です。本書では、具体的事例から抽象的な概念を導き出し、それを別の場面に応用する力を29問のトレーニングを通じて鍛えます。
具体と抽象の本質
具体: 目に見える現実的な事象や詳細に焦点を当てた視点。例:「電車の中で本を読む」「ランチでカレーを食べる」。
抽象: 多くの具体例から共通項を見出し、概念化する視点。例:「移動中の時間活用」「食事を取るという行為」。
なぜ重要か: 具体と抽象を行き来することで、課題の本質を理解し、新たな発想を得ることが可能です。
抽象化のメリット
– 情報整理力: 大量の情報をシンプルにまとめるスキルが養われる。
– 意思決定の迅速化: 本質をつかむことで、迷わず行動に移せる。
– 応用力の向上: 一度学んだ原理やルールを他の場面に適用できる能力が鍛えられる。
29問のトレーニング
本書の中心となるトレーニング問題は、「具体→抽象」「抽象→具体」の2方向で思考を鍛える内容です。いくつか代表的な問題を以下に紹介します:
– 問1:具体例から抽象化する
課題:「猫」「犬」「ハムスター」の共通点を抽象化せよ。
回答例:「ペット」「哺乳類」。
ポイント:観察力と共通点を見抜く力が求められます。
– 問8:抽象的概念を具体化する
課題:「節約」という抽象的テーマを具体例で表現せよ。
回答例:「水道の蛇口を閉める」「割引クーポンを使う」。
ポイント:日常生活で実行可能な具体例を考えること。
– 問15:違いと共通点を見出す
課題:「ラーメン」と「うどん」の違いを挙げ、それらを統一する抽象概念を提案せよ。
回答例:「違い:麺の種類、スープのベース。共通点:麺類の料理」。
ポイント:個別の違いを整理し、それを包括する概念を見つける。
所感
『具体⇄抽象トレーニング』は、理論だけでなく実践的なトレーニングを通じて、思考力を磨ける非常に有益な一冊です。特に、問題の難易度が日常的な例からビジネス戦略に応用できるレベルまで幅広く、どの読者にとっても学びの多い内容となっています。
本書を読んで改めて感じたのは、具体と抽象を行き来するスキルが、私たちの生活や仕事においていかに重要かという点です。たとえば、日常的な問題解決やコミュニケーションで、抽象的なアイデアをわかりやすく説明する力が求められる場面は多々あります。本書でのトレーニングを通じて、こうした場面での即応力が大いに向上するでしょう。
また、29問のトレーニングに取り組むことで、自分の思考のクセや視点の偏りを再認識することができました。私自身も、具体的な視点に偏る傾向があることに気づき、抽象的思考を意識的に鍛えたいと感じました。
まとめ
『具体⇄抽象トレーニング』は、前作『具体と抽象』を深く掘り下げた実践的な内容であり、思考力を高めたいすべての人におすすめの一冊です。特に、ビジネスや教育現場、さらには個人の成長においても、このスキルは応用範囲が広く、価値あるトレーニングになるでしょう。
本書を通じて得られる知識とスキルは、「抽象化と具体化」という日常的なプロセスに対する理解を深めるだけでなく、実践的な応用力も提供します。読者は自らの思考力を客観的に評価しながら、新たな発想や行動につなげることができるでしょう。
何度も繰り返し取り組むことで、具体と抽象の往復運動を自然に行えるようになり、自分の能力が確実に向上していくのを実感できるはずです。ぜひ本書を手に取り、思考の幅を広げる一歩を踏み出してみてください。
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