精神科医が見つけた 3つの幸福【最新科学から最高の人生をつくる方法】

BOOK

著者:樺沢紫苑
出版社:飛鳥新社

幸福とは何か?

人が純粋に幸せを感じるかどうかは、その人の「捉え方」にかかっています。金銭的な成功や社会的な地位を追い求めても、その人が内面から幸せを感じられない限り、心が満たされることはありません。本書は、精神科医である著者が「幸福感」を3つに分類し、それぞれの特徴や優先度を明確に解説しています。それらは、セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、そしてドーパミン的幸福です。

セロトニン的幸福

長期的で内面に根ざした幸福とされる「セロトニン的幸福」は、心の安定やリラックス、穏やかさをもたらす幸福感です。豊かな自然の中で過ごしたり、温泉でゆったりしたり、瞑想や散歩などのアクティビティがこの幸福を促します。
セロトニン的幸福は、一朝一夕で得られるものではありませんが、長期間の習慣を通じて穏やかな満足感を提供し、長続きすることが特徴です。この幸福は、いくら追い求めてもその効果が失われないため、安心して取り入れられるものです。現代社会では、仕事や生活のプレッシャーに追われ、なかなかこうした時間を持つことが難しいものの、このセロトニン的幸福を生活の軸に置くことが推奨されています。

オキシトシン的幸福

長期的で人とのつながりに基づいた幸福である「オキシトシン的幸福」は、人間関係を通じて得られるものです。オキシトシンは「愛情ホルモン」とも呼ばれ、人と触れ合ったり、家族や友人との穏やかな時間を過ごす際に分泌されます。また、コロナ禍により人と接する機会が減少したことで、人間関係の重要性を再認識した方も多いでしょう。
人とのつながりがあると、心の安定や幸福感が増し、逆に孤独な状態は健康にも悪影響を及ぼすとされています。タバコ以上に害があるとも言われる孤独は、オキシトシンの分泌が不足することで生じる問題を引き起こすのです。人と接することで心が満たされ、人生の質を高めるこの幸福も、日常的に意識的に取り入れる価値があると言えるでしょう。

ドーパミン的幸福

「短期的で瞬発的な幸福」である「ドーパミン的幸福」は、達成感や快感と深く結びついています。成功体験やギャンブル、スポーツでの勝利などがこれに該当します。ドーパミンの分泌は、自己実現欲求を満たすことに寄与する一方で、依存症を引き起こすリスクもあります。
この幸福を追い求めることで短期間で大きな満足感が得られる反面、持続的な幸福にはつながりにくい点が注意すべきポイントです。金銭欲やギャンブル欲、異性関係など、際限なく欲望が膨らむことにもつながり、ドーパミン的幸福だけに依存するのは危険です。自分の生活においては、他の2つの幸福感を土台にして、このドーパミン的幸福を短期的なモチベーションとしてうまく活用することが大切です。

所感

人生において幸福を追求する意義とは何でしょうか?多くの人は、お金や社会的な成功が幸福をもたらすと考えがちですが、著者はそれが錯覚に過ぎないことを指摘しています。私たちが心から満たされるのは、自分の内面や人間関係、そして安定した生活の中で得られる穏やかな幸福感であり、これこそが「本当の幸福」なのだと改めて気付かされます。
人とのつながりや日々の安らぎを無視して、短期的な快感に身を委ねると、やがて精神的な疲れや喪失感に見舞われることになるでしょう。本書が示す幸福の3つの分類は、現代社会で混乱しがちな「幸せの正しい形」を再確認する上で非常に有意義な指針を提供してくれます。

セロトニン的幸福で心を整え、オキシトシン的幸福で人との絆を深め、ドーパミン的幸福をアクセントとして楽しむ。この3つの幸福を適切に組み合わせることで、人生を充実させ、持続的に豊かな生活を送ることができるでしょう。

まとめ

『精神科医が見つけた 3つの幸福』は、私たちが幸福に生きるための根本的なガイドラインを提供する素晴らしい一冊です。現代人が陥りがちな「お金」や「地位」による一時的な快感ではなく、本当に自分を満たすための幸福感に意識を向ける大切さを教えてくれます。
著者が示すセロトニン、オキシトシン、ドーパミンの3つの幸福は、それぞれが異なる役割を果たしており、それらを組み合わせることで真の幸せが得られると説かれています。

私たち一人一人にとっての幸福感は、他人の基準で決めるものではなく、自分自身が「何に満足し、何に喜びを感じるか」を見極めていく過程で見つけるものです。

本書が、幸福について深く考えるきっかけとなり、自分自身の内面を見つめ直し、本質的な幸福感を見つける手助けとなることを願っています。日々の生活の中で、自分が大切にしたい幸福を意識しながら、3つの幸福をバランスよく取り入れて、より良い人生を築いていくことが、私たちにとっての最良の道であると感じさせてくれる一冊でした。

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