WHITE SPACE ホワイトスペース【仕事も人生もうまくいく空白時間術】

BOOK

著者・出版社情報

著者: ジュリエット・ファント
出版社: 東洋経済新報社

概要

『WHITE SPACE ホワイトスペース』は、「忙しい日常をどう乗り切るか?」に対して、あえて何もしない時間を積極的に取り入れることで仕事も人生も効率を高めようという、逆説的ともいえる手法を解説する本です。大半のビジネスパーソンは「タスクを詰め込むほど生産性が上がる」と考えがちですが、実際にはスケジュール過密が創造性を殺し、意思決定を曖昧にし、さらにストレスを増大させるリスクがあります。本書で著者は「ホワイトスペース(空白の時間)」を“意図的に”スケジュールに組み込み、脳に余裕を与えることでアイデア判断力を劇的に向上させる方法を提唱しています。

「しっかり休む」ことの価値は以前から言われていますが、実際にどのように空白時間を作り、それを活かすかについては意外とノウハウが少ないのが現状。本書では、具体的なテクニックや実例が多数紹介され、単なる休憩ではなく戦略的な“何もしない時間”がどれほど重要か、そしてそれがいかにパフォーマンス幸福を高めるかを丁寧に解説しているのが特徴です。

活用法

本書で示される「ホワイトスペース」を仕事や生活にどう取り入れ、どう活用すればよいのか。以下では、特に実践しやすく、かつ効果を実感しやすい方法を中心に多めの分量でまとめます。

習慣化を目指し、小さな空白を積み上げる

・会議やアポイントの間に10〜15分の隙間を入れる
多くの人はスケジュールを詰めすぎるあまり、前の会議が終わるや否や次の会議に突入してしまいます。そこで、本書が推奨するのは「意図的に会議と会議の間に10〜15分の余白を設ける」というもの。この短い空白が、思考の整理や軽い休憩に役立ち、その後の集中度を大きく高めるとのことです。

・昼休みに“デジタル断ち”をする
空き時間ができると、ついスマホに目がいきがちですが、それでは脳が「処理モード」から完全に切り替わりません。本書では、昼休みなどに意図的にスマホやPCを置き、ぼんやり空を見上げるなどの“完全な無活動”を推奨しています。こうした瞬間に脳は思いがけないアイデア気づきを出しやすくなるといいます。

「何もしない時間」をスケジュール化する

・1日のスケジュール表に“空白枠”を入れる
自分のGoogleカレンダーや手帳に、あえて“何もしない”という枠を確保します。例えば10:00〜10:15は完全フリータイムにするなど、最初は小さな時間帯から始めてみる。これだけで「この時間はタスクを入れない」という自己ルールが作られ、脳に休息や自由思考のチャンスを与えられます。

・週末に“ゼロデイ”を設定
より踏み込んだ形で、本書は週末に1日まるごと何も予定を入れない「ゼロデイ」の確保を提案しています。洗濯や掃除もほどほどに、スマホやPCの通知をオフにして、完全に“白紙”の状態で過ごすのです。すると、驚くほど気力が充実してきて、翌週の仕事にも良い影響を与えるとのこと。忙しい現代では難しく感じますが、半日でも実践してみる価値は大いにあります。

デジタルデトックスで脳を解放する

・寝る前1時間のデバイスオフ
SNSや動画を就寝前に見続けると、脳が興奮状態にあり、睡眠の質が下がると本書は指摘します。対策として「寝る1時間前にはスマホ・PCを触らない時間を設ける」ことで、脳をクールダウンさせ、深い睡眠を得る。その時間を読書やストレッチに充てれば、意外なリラックス効果を実感できるはずです。

・日中のスマホ通知を最小限に
日中はLINEやメール、SNSなどから通知が頻繁に来ると、それだけで脳の切り替えが発生し、集中が途切れます。本書が推奨するのは、「通知の多いアプリは通知OFFにし、自分がアクセスしたいときにだけチェックする」というスタンス。これにより自然と空白時間が生まれ、意識的に“Think Time”を維持しやすくなります。

余白時間を“深い思考”や“アイデア創出”に繋げる

・一人ブレインストーミングを日課に
ホワイトスペースに突入したら、全く何もしないか、あるいは「ざっとメモ帳にアイデアを書き出す」というブレインストーミング的行為をすると良いと本書は提案しています。例えば「今抱えている課題」をぱっと書き出し、思いつく解決策を自由に列挙する。これが創造的思考を刺激し、意外なアイデアが浮かぶきっかけになるわけです。

・リフレクションタイムで自分の行動を客観視
本書は、空白時間を「自分の行動を振り返る時間」として活用し、改善点を洗い出す習慣も推奨しています。実際、毎日走り続けていると自分の行動が客観的に見えなくなりがち。「今日はどこでムダが多かったか?」「次はどうすれば上手くいくか?」といった問いかけを空白の時間に行うことで、1日の終わりに気づきが得られ、翌日の仕事や生活の質が向上します。

他者との関わりや仕事の質を高める試み

・会議に空白を挟むことで有意義な議論を
本書によると、連続的に会議を詰め込むと、参加者が疲弊してイノベーティブな意見を出しづらくなるだけでなく、議論の質も落ちてしまう。そこで、ひとつの会議が終わったら最低5〜10分の休止時間を取り、すべての参加者が頭を一度リセットすることを推奨。これにより、次の会議での集中度やアイデアの質が飛躍的に高まるといいます。

・「ホワイトスペースは贅沢品ではない」と意識改革
忙しい職場ほど「空白時間なんて作る余裕ない」と思われがちですが、実際は少しの調整で可能な場合も多い。著者はそのために、まず上司や同僚との間で「空白時間こそ生産性を高める」という考えを共有することが大切と説きます。自分一人が空白を確保できても、チーム全体がそれを理解しないと実践が難しいからです。研修やミーティングで本書の内容を紹介し合うことで、お互いの働き方を見直す機運を作るのも良いでしょう。

所感

「何もしない」がこれほど大事だったとは
現代社会では「タスクを詰め込むほど偉い」「常に忙しいことが正義」という風潮が根強いですが、本書を読むと、それは逆効果だと痛感します。疲労が積み上がるほど思考力創造力は落ちるので、あえて何もしない時間を設けて“脳を呼吸させる”ことで、真に重要なものを見極める余裕が生まれる。まさに逆説の大切さを再認識しました。

忙しさに踊らされる人生からの脱出
多くの人が「本当はこうしたい」という気持ちを持ちながら、目先の仕事やSNS、メール処理に追われ続けて本質を見失いがち。そこへ“ホワイトスペース”を差し込むだけで、自然と「余裕」が取り戻せるのが衝撃的なほどシンプルだと感じます。
本書の示す具体例——会議間の10分休息週末のゼロデイなど——はどれも「試せばすぐに効果を実感できる」アイデア揃い。忙しいからこそ逆に取り入れたいと思える内容です。

まとめ

  • 「ホワイトスペース」とは意図的に何もしない時間をスケジュールに組み込み、脳と心に余白を与える考え方
  • 創造性や意思決定の質が高まるだけでなく、ストレスミスの軽減にも繋がり、仕事の生産性・生活の質が大きくアップ
  • 会議と会議の合間に
    空白を作る、昼休みにデジタルを断つ、週末に1日オフを設けるなど、具体的な手法が充実
  • 組織全体で「空白は無駄じゃない」と理解を深めることで、チームの効率やモチベーションも底上げ可能
  • 忙しさに追われがちな現代人にとって、あえて“何もしない”ことこそが最高のパフォーマンスを導く鍵だと、逆説的に教えてくれる一冊
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プロフィール
あつお

読書で得た知識をAIイラストとともに分かりやすく紹介するブログを運営中。技術・ビジネス・ライフハックの実践的な活用法を発信しています。趣味は読書、AI、旅行。学びを深めながら、新しい視点を届けられたら嬉しいです。

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