NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ

BOOK

著者:ジェレミー・ハイマンズ, ヘンリー・ティムズ

出版社:ダイヤモンド社

大衆参加型のコミュニティーの時代が到来

本書『NEW POWER』は、急速に発展するテクノロジーによって生まれた、大衆参加型の「ニューパワー」のコミュニティについて語っています。従来の経営やサービスは、トップダウン型で、限られたリソースを使って決定が行われるものでした。しかし、現代では誰もが情報を発信し、影響力を持つことができる時代となり、ボトムアップ型のコミュニティが増えています。本書は、こうした新しいパワーの仕組みや、その成功と失敗の例を具体的に取り上げています。

①ニューパワーとは何か?

ニューパワーの本質を理解するために、まずその背景を見てみましょう。以前、私たちは少数のエリートや専門家が発信する情報やサービスに依存していました。テクノロジーが限られていた時代には、情報を一部の人々しか提供できなかったのです。しかし、今やスマートフォンやSNS、ブログ、YouTubeなどを活用すれば、個人が簡単に情報を発信できるようになりました。その結果、少人数のトップ層が権力を持つ「オールドパワー」に対して、より広範な人々が参加し、協力して何かを作り上げる「ニューパワー」が登場しました。

②オールドパワーの限界とニューパワーの活用

ニューパワーが注目される一方で、いまだにオールドパワーの影響が強い企業も少なくありません。例えば、Uberの成功は一時的なものでしたが、そのビジネスモデルは、結果的にユーザーとドライバーの双方に不満を残しました。タクシー業界を一変させたUberは、需要が高まると価格を上げるという独占的な立場を利用し、一方的な料金設定を押し付けてしまいました。結果として、利用者にとってもドライバーにとっても負担が大きく、ニューパワーの恩恵を享受できなかったのです。

一方、サイエンスフィクションゲーム『スターシチズン』の成功例を見てみましょう。同ゲームは、クラウドファンディングを通じて資金調達に成功し、参加者全員の協力と貢献を促す形で開発が進んでいます。出資者が開発に積極的に参加し、バグの修正や新たな機能の提案を行うことで、コミュニティが成長し続けています。人々が共同作業や他者への貢献を喜びとして感じる本能を刺激し、成功を収めた好例です。

所感

本書を読んで感じたことは、現代社会においてトップダウンのオールドパワーが限界を迎えつつあるということです。多くの企業や組織は、未だにトップダウン型のアプローチを採用していますが、それは長期的に見れば衰退の道へと繋がる可能性が高いです。特に現代の消費者は、自ら参加し、影響を与えることを求めており、そのニーズに応える企業こそが成長していくでしょう。私自身、ビジネスだけでなくプライベートにおいても、ニューパワーの価値を認識し、他者との協力や相互作用を重視することで、自分の考え方や行動に変化をもたらせると感じました。

まとめ

『NEW POWER』は、オールドパワーとニューパワーの違いを具体例とともに分かりやすく説明しており、現代のビジネスや社会の変化を理解する上で非常に有益な一冊です。企業がトップダウン型のアプローチに固執している限り、ニューパワーの恩恵を受けることはできません。逆に、参加者や消費者との協力関係を築き、ボトムアップ型のアプローチを取り入れることで、より強力で持続可能な組織を作ることができるのです。

本書は、個人でも企業でも、これからの時代に必要な力の方向性を示してくれます。テクノロジーの発展による社会の変化に対応し、協力や貢献を大切にすることで、より多くの人々が恩恵を享受できる未来を築くことができるでしょう。

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