NINE LIES ABOUT WORK【企業に対するバイアスを除去する本】
著者:マーカス・バッキンガム,アシュリー・グッドール
出版社:サンマーク出版
世には、数多くの革新的、イノベーティブな企業が存在します。社員向けの優遇施設を設けたり、一定の自由時間を設けたりする企業も少なくありません。しかし、それらは大概的なマーケティング戦略であり、より優秀な社員を呼び寄せるためのイメージに過ぎないことが多いのです。実際の企業として、各部門として、働く社員として重要な項目は、多くの人のイメージとは異なります。そんな嘘を明かしたのが本書『NINE LIES ABOUT WORK』です。本書が扱う嘘は、以下の通りです。
- 「どの会社」で働くかが大事
- 「最高の計画」があれば勝てる
- 最高の企業は「目標」を連鎖させる
- 最高の人材は「オールラウンダー」である
- 人は「フィードバック」を求めている
- 人は「他人」を正しく評価できる
- 人には「ポテンシャル」がある
- 「ワークライフバランス」が何より大切だ
- 「リーダーシップ」というものがある
「どの会社」で働くかが大事
企業のトップが掲げるスローガンや文化は、必ずしも現場まで広まるわけではありません。実際、文化における差は企業間よりも企業内での方が強いというデータがあります。社長よりも直属の上司から受ける影響の方が強いのです。転職前に良いイメージを抱いていた企業に対しても、転職直後に失望するのはこのためでしょう。
「最高の計画」があれば勝てる
サラリーマンであれば、定期的に上司と計画を見直し、かつ同時に評価を行うのが通例です。上位方針をもとに中期計画を立て、その中でさらに自分がやるべき内容を細分化し、詳細な計画に落とし込みます。しかし、計画とはほとんどが予定通りに行かないもの。特に変化の激しいVUCAと呼ばれる現代ではその傾向は顕著です。綿密な計画より、柔軟に対応する姿勢を重視しましょう。
「人は他人を正しく評価できる」
人には自分の能力を過大に評価する傾向があります。ダニングクルーガー効果と呼ばれるこの現象は、他人を評価する能力にも適用されます。実際、人は数多くのバイアスにとらわれがちです。他人を評価していると思っていても、単に自分が必要としているものを自分の目線で捉えているに過ぎません。その時の環境や感情により評価が変化する可能性もあり、評価者によってもその評価値は変化します。
最後に
人間である以上、ある程度の嘘やバイアスに騙される傾向は避けられないでしょう。それでも人生の満足度を上げるために、そういったバイアスに気づき、少しずつ減らしていくことは重要です。本書はそんな気づきを、ハーバードビジネスレビューの数多くの研究に基づいて明らかにしてくれます。感情よりもデータを重視する、そんな人生を送りたいと強く感じました。
この本を読むことで、企業や働き方に対する固定観念を見直し、より良い職場環境を築くためのヒントを得ることができるでしょう。日常の働き方に取り入れ、仕事に対する視点を変えてみることが、結果として自分自身の成長や満足度の向上につながるはずです。