【ソース焼きそばの謎:甘辛い熱量に翻弄される本】
著者:塩崎 省吾
出版社:早川書房
「ソース焼きそばの謎」は、そのタイトルとジャケットに引かれて思わず手に取ってしまう一冊です。読者の多くが「本当にソース焼きそばの事だけで本1冊も語ることができるの?」と疑問を抱きながら読み進めることでしょう。しかし、その予想に反して、次々と濃い内容が展開され、読者を引き込んでいきます。
焼きそばの歴史と誕生の謎
本書では、ソース焼きそばの誕生の歴史や、その製法の遷移について詳しく解説しています。特に戦後日本の外交状況と焼きそばの関わりについては驚きの連続です。一般に信じられているソース焼きそば誕生の経緯に疑問を抱き、反証するための証拠をかき集めた著者の情熱が感じられます。
焼きそばの普及と戦後の闇市
戦後の闇市で普及した焼きそばですが、その起源はさらに数十年前に遡ります。焼きそばがどのようにして庶民の味として定着していったのか、またそれに関わる社会的背景についても深く掘り下げられています。
科学的観点からの調味料の解説
本書では、焼きそばの味を決定づけるソースやその他の調味料についても科学的な観点から解説されています。これにより、ただの食べ物としてではなく、文化としての焼きそばをより深く理解することができます。
所感
本書を読んで感じたのは、人間が一つのことを極めればここまで深く突き詰めることができるのかという驚きと感嘆です。著者の塩崎氏が数年にわたりソース焼きそばの歴史や製法を研究し、その思いをブログに綴り続けた結果、このような一冊が誕生したのです。その情熱と執念に畏敬の念を抱きました。
私たちは普段、何気なく焼きそばを食べていますが、その裏にはこんなにも多くの歴史とドラマがあることを知り、改めて食べ物に対する見方が変わりました。焼きそば一つを取っても、そこには多くの人々の努力と工夫が詰まっているのです。
最後に
本書を通じて感じたのは、何事も深く掘り下げていくと、そこには無限の広がりがあるということです。ソース焼きそばという一見シンプルなテーマが、これほどまでに多岐にわたり、深い洞察を与えてくれるとは思いもよりませんでした。私たちも日常の些細なことに対してもっと興味を持ち、深く探求する姿勢を持つべきだと感じました。
「ソース焼きそばの謎」は、単なる食べ物の話に留まらず、文化や歴史、人間の情熱についても多くの教訓を与えてくれます。皆さんもぜひこの本を手に取り、その魅力を味わってみてください。食べ物に対する見方がきっと変わるはずです。
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