科学的に証明された 自分を動かす方法: モチベーションサイエンスの極意

BOOK

著者: アイエレット・フィッシュバック
出版社: 東洋経済新報社

正しい目標の立て方

2024年も半ばに差し掛かっています。今年の初めに立てた目標が実行できていないと感じる人は少なくないでしょう。それは目標の立て方が間違っているからかもしれません。本書は、自分のモチベーションを上げ、目標を達成するための方法を科学的に説明しています。内容は、①内発的モチベーション②進捗管理③ソーシャルサポートの三つの柱で構成されています。

① 内発的モチベーションの重要性

人間のモチベーションは大きく二つに分かれます。内発的モチベーションは、心からやりたいと思うことに基づきます。例えば、趣味や興味を追求する行動は内発的モチベーションに由来します。一方で、外発的モチベーションは、外部からの報酬や評価を求める動機に基づきます。仕事での昇進やお金のために頑張ることがそれに当たります。

内発的モチベーションが強い場合、長期的な努力が可能です。子供たちに自発的に絵を描かせた実験では、外的な報酬が与えられるとその後は自発的に描かなくなるという結果が示されました。つまり、外的な報酬が内発的な動機を上回ると、行動の継続が難しくなるのです。目標を達成するには、自分がなぜその目標を達成したいのかをしっかりと内面から考える必要があります。

② 進捗管理の効果

次に、進捗の意識がモチベーションに与える影響についてです。目標達成の過程では、進捗を適切に管理することが重要です。スタート段階では、どれだけ進んだかを意識し、ゴールが近づいてきたら、残りの作業量を考慮するのが効果的です。

コーヒーショップのスタンプカードを使った実験が示すように、最初に少しでも進捗を感じることが、モチベーションを高める鍵となります。例えば、10個のスタンプのうち最初に2個押されているカードの方が、1個も押されていないカードよりも、スタンプを集めようとする意欲が高まるというデータがあります。このように進捗感を与えることで、ゴールに向けた努力が続きやすくなるのです。

③ ソーシャルサポートの活用

最後に、ソーシャルサポートの重要性が挙げられます。これは他人に自分の目標を伝え、サポートを得ることでモチベーションを維持する方法です。心理学者ロバート・チャルディーニが提唱した「社会的証明」という理論によれば、人は一度発言したことに対して一貫性を保とうとします。

自分が目標を達成したいと周囲に公言することで、その約束を守ろうとするプレッシャーが働きます。友人や家族に目標を伝えることで、その信頼を失わないように努力するようになり、自然と行動が目標達成に向かうのです。

所感

この本を読んで感じたのは、モチベーションを維持するためには意志力だけに頼るのではなく、科学的なアプローチが必要だということです。内発的な動機を大切にし、自分自身の進捗を可視化し、社会的なサポートを得ることで、モチベーションを持続的に保つことができるのです。

進捗感の重要性や、他人に目標を伝えることで自分を追い込む方法など、実生活で簡単に応用できる内容が多く、大いに参考になりました。

まとめ

「科学的に証明された 自分を動かす方法」は、モチベーションを正しく管理し、目標達成に役立つ知識を提供してくれる一冊です。内発的な動機を大切にし、進捗を管理し、他人からのサポートを活用することで、目標達成の確率を大いに高めることができます。

モチベーションは日常的な感情ではなく、持続的な努力を支える力です。これからの人生で目標をしっかりと達成するために、この本の教えを活かしていきたいと感じました。

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