やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学【成果を上げるための習慣】
著者:ハイディ・グラント・ハルバーソン
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
序章
世の中には、口だけで成果を上げられない人と、有言実行で最後までやり抜き成果を上げる人がいます。その違いは実際に行動するかどうかにあります。しかし、プランをアクションに移すのはとても難しいものです。その難しい作業を実行するためのノウハウを教えるのが本書『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』です。
具体性
「鈴木祐」著の『ヤバい集中力』でも述べられていますが、人間は曖昧な事象を扱うのが苦手です。すなわち、目標は具体的であればあるほど良いのです。自分がなりたい姿を想像したら、その未来から逆算して、自分が実行できるステップを書き出していくことが重要です。そして、自分がイメージできるまで詳細に書き上げます。
例えば、美しい肉体を手に入れたいのであれば、「毎週金曜日にジムバッグを持ってジムに行く」という具体的な行動を計画に組み込むことが効果的です。具体的な目標は、実行のハードルを下げ、行動を促進します。
具体性を持つことの重要性は、ただの理論ではなく、実際の行動に大きな影響を与えます。曖昧な目標では、モチベーションが維持できず、途中で挫折してしまう可能性が高くなります。逆に、具体的な目標は、その達成に向けた道筋を明確にし、日々の行動を確実なものにします。例えば、「健康的な食生活を送る」という目標よりも、「毎日朝食に野菜を一品加える」といった具体的な目標の方が、実行しやすく、達成感を得やすいのです。
集中
人間が一度にできること、1日にできる事は限られています。すなわち、多くをやろうとすればするほど、何かが犠牲になってしまうのです。ですから、あらかじめ自分で優先度を設定する方が得策です。そのために自分が人生で何を求めているのか、価値観を明確にする必要があります。
私の場合、成長と豊かな人間関係がそれに当たります。一度価値観を定義したら、8割程度の事は不要になります。2割の本当に大切なことに集中し、成果を上げていくことが重要です。
集中力を高めるためには、まず環境を整えることが大切です。例えば、作業スペースを整理整頓し、必要なものだけを手元に置くことで、無駄な気を散らす要素を排除します。また、タイムブロッキングと呼ばれる時間管理の方法を使って、一日の中で集中する時間帯を決め、その時間帯に最も重要なタスクに取り組むようにします。こうした方法を取り入れることで、自然と集中力が向上し、生産性が高まります。
さらに、デジタルデトックスも効果的です。現代社会では、スマートフォンやソーシャルメディアが常に私たちの注意を引きつけ、集中を妨げる要因となっています。一定時間デバイスを遠ざけ、デジタルから離れることで、脳をリフレッシュさせ、集中力を回復させることができます。
継続
集中力を身に付けたら、最後に継続が重要となります。いくら綿密な計画を立てても、それを長期間行えなければ大きな成果は得られません。投資信託において、年利がわずかであっても長期間保有し続ければ、資産は莫大な額に増大するのと同様です。
良い習慣は時間をかければ、自分の人生を豊かにしてくれます。毎日少しずつ始め、それを習慣となるまで継続して続けることが大切です。もし実行が難しければ、再度やりやすくなるまで分解していきます。そのプロセスを通じて、良い習慣が継続されるでしょう。
継続のためには、自己効力感を高めることも重要です。自己効力感とは、自分が目標を達成できるという自信のことです。小さな成功体験を積み重ねることで、自分に対する信頼感が増し、より大きな目標に挑戦する意欲が湧いてきます。例えば、毎日5分間の運動を習慣化することから始め、その後徐々に運動時間を延ばしていくことで、運動を継続することが容易になります。
また、継続を支えるためのサポートシステムを構築することも効果的です。例えば、目標を共有する仲間を見つけ、お互いに励まし合いながら進めることで、モチベーションを維持しやすくなります。さらに、定期的に目標達成状況を振り返り、進捗を確認することで、自分の成長を実感し、継続する意欲を高めることができます。
所感
本書に書いてある内容を理解するのは簡単です。9つのステップを覚えるだけで良いのです。しかし、実行するのは大変です。実際の行動に移すには、一つ一つを丁寧に、本当に大切な事は何なのか、なぜ集中できないのかを日々考え続けることが必要です。
この本を通じて、自分の目標を具体化し、集中し、継続することの重要性を再確認しました。多くのビジネス書が同様のアドバイスを提供しますが、自分に合った方法を見つけることが最も重要です。
例えば、私自身もこの本を読み進める中で、自分の目標設定がいかに曖昧であったかを痛感しました。具体的な行動計画を立てることで、目標達成への道筋が明確になり、実行に移しやすくなりました。また、集中力を高めるための環境整備やデジタルデトックスの重要性を実感し、実際に取り入れることで、作業効率が大幅に向上しました。
さらに、継続の難しさも改めて認識しました。長期間にわたって習慣を維持するためには、自己効力感の向上やサポートシステムの構築が欠かせません。これらの要素を取り入れることで、これまで挫折していた習慣も続けられるようになりました。
まとめ
『やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学』は、成果を上げるための具体的な方法を提供してくれる貴重な一冊です。具体性を持ち、集中し、継続することが成功への鍵であることを改めて感じました。
私自身、この本を通じて、目標をより具体的にし、優先順位を明確にし、習慣を継続することの重要性を再確認しました。成功は一朝一夕には得られませんが、日々の努力と習慣が長期的な成果を生むのです。
この本の教えを実生活に取り入れることで、より効率的に目標を達成し、充実した人生を送ることができるでしょう。成功を目指す全ての人にとって、必読の一冊です。