【時間軸の原則で効率を最大化する】脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術

BOOK

著者:樺沢 紫苑

出版社:大和書房

時間軸の原則

効率化を求めるのが人間の本能です。より楽により遠くに、誰しもが行きたいものです。しかし時間は平面的なものではなく、その時間帯によって有効性が異なる立体的なものなのです。例えば午前中は集中力の高い仕事の方が適しているだろうし、寝る直前であれば、記憶系のタスクがはかどる。このように時間に対する軸を増やして考察するのが本書です。そんな本書の主な内容は①ゴールデンタイム、②リセット、③仕組み化です。

① ゴールデンタイム

人間が1日に使える意志力や集中力は限られています。実際に、刑務所における釈放率を計測した実験においては、午前中ほど釈放率が高く、夜に近づくほど低下していく傾向が見受けられました。これは決断を重ねるにつれて脳が疲弊し、夜が近づくにつれて決断のための十分なエネルギーを確保できないためと考えられます。同様に集中力や決断力を必要とする仕事は、午前中の早い段階で終わらせるべきです。チームにおける重要な意思決定や執筆作業などは午前中に、その他メールチェックや英単語の記憶などの単純作業は、午後や夕方に回しましょう。

② リセット

前述した内容とは矛盾するかもしれませんが、夕方や夜に集中力を要する作業を行えないわけではありません。それを可能とするのが運動です。ジョン・レイティ著の「脳を鍛えるには運動しかない」やアンデシュ・ハンセン著の「運動脳」では、一定時間の有酸素運動により、脳の血流が増大し、集中力が増加することが示されています。さらに運動の効果はその後数時間、毎日継続すれば何年にもわたって効果をもたらします。また場所を変える、ゆっくりと食事をするなどの行為も気分転換になり、集中力をリセットさせます。1日の中で集中力の低下や疲労を感じたら、外に出て食事をする、公園を散歩するなどして、いちど集中力をリセットさせましょう。そして夜は十分な睡眠を取り、最高のパフォーマンスで翌朝を迎えましょう。

③ 仕組み化

上記に紹介したテクニック以外でも、一度実行すれば、その後半永久的に効果をもたらすことがあります。例えばメールのフィルタリング。Gmailにおいては、一度迷惑メール設定やフィルター設定を行えば、以降メールの対処に時間を使わなくて済みます。会社のOutlookでも同様の設定は可能でしょう。また、部屋の掃除においては、掃除ロボットを購入し床面からものをなくせば、永久的に掃除の時間を削減できます。このように毎日習慣としているものは何か、その中に無駄はないか、どうすれば自動化できるかを考えて時間を圧縮していきましょう。

最後に

本書で紹介したのは時間を限りなく短縮するテクニックです。人間の脳の特性を生かして、より効率的に作業をこなす方法が多数紹介されています。しかし、本当に重要なのは、不必要な作業をそもそも消してしまうことです。自分の人生において本当に必要なものは何なのか。本当に効果をもたらすものは何なのか。それを第一に考えることが重要でしょう。パレートの法則では、重要な2割の事柄に手をつければ、8割の成果を得られると言われます。同様に自分の時間の2割を注げば、今までの8割の成果は得られるでしょう。これを繰り返していけば、とてつもなく遠くに行くことができます。毎日を少しずつ変えていきたいと、そんなふうに思える本でした。

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