著者:雨穴
出版社:飛鳥新社
物語の概要
この物語は、ある「変な家」の間取り図が発端となり、その不気味な配置に隠された謎と恐怖が徐々に明らかにされていくというストーリーです。特徴的なのは、ホラー要素を間取り図という日常的な視覚情報に絡めることで、物語全体に静かでありながらも圧迫感のある恐怖を演出している点です。
主人公・雨穴の調査
物語の主人公であり語り手である雨穴は、ネット上で記事を執筆しているオカルト愛好家です。ある日、彼のもとに「変な家の間取り図」を入手したという依頼者からの相談が舞い込みます。その間取りに違和感を覚えた依頼者が家の購入を迷っているのです。
間取り図に隠された謎
雨穴が間取り図を調査すると、普通の家とは明らかに異なる奇妙な配置や動線の異常さに気付きます。無駄に長い廊下や、使い道がわからない部屋など、不合理な点がいくつも見つかり、それが物語の不気味さを深めていきます。
所感
この作品は、ホラー小説として非常にユニークなアプローチを取っており、間取り図という一見日常的なものに潜む違和感を通じて、じわじわと恐怖を感じさせます。日常の中に潜む不安や恐怖を炙り出す手法が巧妙で、読者は次第に家そのものが不気味な存在として感じられるようになります。普段は安心できる場所であるはずの家が、恐怖の対象となることに驚きました。
登場人物の心理描写
物語を通じて描かれる登場人物たちの心情や行動が、徐々に恐怖に染まっていく様子は非常に興味深いです。登場人物が抱える不安や違和感は、現実における我々の日常生活とも重なり、その心情の描写が物語の緊張感をさらに高めています。
まとめ
『変な家』は、日常に潜む恐怖をテーマにした作品で、間取り図という視覚的な要素を用いることで、静かながらも圧迫感のある恐怖を読者に与えます。日常の中にひそむ小さな異常が、次第に大きな事件へと繋がっていく様子は、現実世界での違和感や不安を描写することに成功しています。ホラー要素とミステリー要素が絶妙に絡み合い、最後まで飽きさせないストーリーが展開されています。
読者に新たな恐怖の視点を提供し、考えさせられるこの作品は、ホラーファンやミステリー好きにもおすすめの一冊です。
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