GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代
著者:アダム グラント
出版社:三笠書房
与える喜びを実感する本
GIVE & TAKEというタイトルの本は、「与える人」こそ成功する時代を描き出しています。成功者にはギバーが多いのと同時に、ギバーであることで自分自身が幸福になるというメッセージが伝わってきます。本書を読むことで、他人への貢献に喜びを感じる人が、いかにして人生における成功と幸福度向上を実現するかが紹介されています。
人類の進化と反映
人類は互いに協力しながら、互いの知恵や技術を共有しながらここまでの進化と反映を遂げてきました。すなわち、他人への貢献に喜びを感じる人が、現在まで子孫を残し、私たちもその傾向があるのです。この歴史的背景から見ても、ギバーであることの重要性が理解できます。
本書の主な内容
本書の主な内容は以下の3つに要約されます:
- パイを大きく
- 可能性を掘り出す
- ギバーの構造戦略
1. パイを大きく
ギバーは自分の利益よりも他者の利益を優先します。短期的には自分が損することになるかもしれませんが、この行動により長期的にもしくは全体としては得をすることになります。例えば、IT業界におけるオープンソースソフトウェアがその良い例です。
個人としては大きな利益を得ることができないが、業界全体として質の高いソースコードを無料で共有することができ、他者もその恩恵に預かれます。業界全体としては開発スピードが進み、最終的に自分が受けられる恩恵も大きくなるのです。重要なのは、いかにしてwin-winの関係を築けるかということです。
所感
オープンソースソフトウェアの世界では、貢献することで得られる満足感が非常に大きいと感じます。私自身も、プロジェクトに貢献することで得られる達成感やコミュニティからの感謝の声に励まされることが多々あります。このような体験を通じて、与えることの喜びを実感しています。
2. 可能性を掘り出す
ギバーは他人の可能性に対しても敏感であり、他人の潜在能力を引き出すのが得意です。世に存在する芸術方面での天才を見てみると、最初の先生は必ずしも技術的に優れた方ではないことが多いです。しかし、生徒の才能を見出し、モチベーションを引き出し、練習を続けさせる才能を持っていることがわかります。
これはピグマリオン効果と呼ばれる現象で、人は誰かに才能を認められると、実際にその才能を発揮するようになります。誰かに期待することも重要であり、他人の成長をサポートする姿勢がギバーの特徴です。
所感
私は教育現場での経験から、ピグマリオン効果の力強さを感じます。生徒が「自分はできる」と信じて努力する姿を見守るのは教師として最大の喜びです。期待されることで、生徒たちが自信を持ち、驚くべき成長を遂げる姿を見るたびに、他人の可能性を信じることの大切さを実感します。
3. ギバーの構造戦略
ギバーであることが常に成功を保証するわけではありません。最高の成果を上げるギバーがいる一方で、最低限の成果しかあげられないギバーもいます。テイカーに食われて、自分の能力やエネルギーを十分に生かせないケースもあるのです。
このような事態を防ぐための戦略が、「ときには、マッチャーとして振る舞う」ことです。これを本書では「寛大なしっぺ返し」戦略と呼んでいます。テイカーに対しては3回に2回はマッチャーとして振る舞い、いかなる恩恵も与えませんが、3回に1回は寛大にギバーとして振る舞い、相手の利益を優先します。このようにすることで、テイカーが心変わりしてギバーとして振る舞う可能性もあるのです。
所感
私も過去に、自分のギバーとしての性質が一方的に利用されていると感じたことがありました。しかし、本書を読んでからは、必要に応じてマッチャーとして振る舞うことで、バランスを取ることができるようになりました。この戦略を取り入れることで、私自身のエネルギーを守りつつ、他人への貢献を続けることができるようになりました。
終わりに
『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』は、他人への思いやりを事例とともに、論理的かつ科学的に語った良書です。本書を読むことで、私たちが大切にしなければならない、忘れてはならないことを思い出すことができます。人生における成功と幸福度向上を目指すために、ぜひ一読をおすすめします。
今後もこの本を定期的に見直し、他人への貢献を通じて自己成長を図りたいと考えています。与えることの喜びを実感しながら、自分自身も豊かにしていく道を共に歩みましょう。