amazonのすごい人事戦略【世界的企業の原則】

BOOK

著者:佐藤 将之

出版社:東洋経済新報社

年平均20%の成長を遂げる世界的大企業Amazon。その成長の裏には、強い原則が存在します。そんなアマゾンの理念を語る本書の主な内容は、①すべての基礎、②採用、③育成です。

① すべての基礎

Amazonのすべての基礎をなすのがOLPです。16条からなるそれは、すべてのサービスはお客様のためにあることを忘れないために制定されています。その内容は以下の通りです。

  • Customer Obsession: リーダーはお客様を起点に考え、お客様のニーズに応えることに尽力します。
  • Ownership: リーダーは長期的な視点を持ち、短期的な結果のために長期的な価値を犠牲にしません。
  • Invent and Simplify: リーダーはイノベーションとシンプルさを追求し、新しいアイデアに常に挑戦します。
  • Are Right, A Lot: リーダーは正確な判断を下し、多様な意見を尊重しつつ自らの考えを反証しようとします。
  • Learn and Be Curious: リーダーは学びと新たな可能性に対する好奇心を持ち続けます。
  • Hire and Develop the Best: リーダーは優れた才能を育成し、組織全体のレベルを引き上げます。
  • Insist on the Highest Standards: リーダーは常に高い基準を設定し、それを達成しようと努力します。
  • Think Big: リーダーは大胆な目標を設定し、非常識な成果を目指します。
  • Bias for Action: リーダーは迅速な意思決定と行動を重視し、計算されたリスクを恐れません。
  • Frugality: リーダーは資源を効率的に利用し、創意工夫を促進します。
  • Earn Trust: リーダーは他人を尊重し、信頼を築くために誠実に行動します。
  • Dive Deep: リーダーは細部にも目を配り、全体を理解しようと努めます。
  • Have Backbone; Disagree and Commit: リーダーは自己の信念を持ち、意見が異なる場合でも堂々と異議を唱え、決定されたらそれにコミットします。
  • Deliver Results: リーダーは目標を達成するために集中し、成果を出します。
  • Strive to be Earth’s Best Employer: リーダーは職場環境を改善し、社員が成長できる環境を提供します。
  • Success and Scale Bring Broad Responsibility: リーダーは行動の広範な影響を認識し、持続可能な方法で事業を行います。

この原則を共有することで、アマゾンの社員は常にお客様のために働き、自分が苦しくとも頑張り抜くことを習慣とできます。

② 採用

そんなアマゾンであるが、これらの原則を守り抜くためには、優秀な社員が必要です。世界的に有名な企業であるアマゾンですが、採用には慎重に力を入れており、その採用率は1%にも満たないと言います。採用権限は現場の直属の上司に与えられ、実際の職場において適した人材となるかが厳密に評価されます。面接は必ず複数回行われ、現場の社員からも直接会って評価されます。そして、高い基準を設定し「絶対に欲しい」と思える人材しか採用しません。この徹底した採用プロセスによって、アマゾンは従業員の質を担保しています。

③ 育成

採用後の人事制度も手厚いです。Amazon就職後の評価は定量的に行われ、上司が直感で密室にこもって許可を下すことはありません。バイアスを極限まで減らすために、複数人による360度評価を行い、その後上司の評価をさらに上司が評価します。こうして組織全体として平等な評価を行えるようにしているのです。さらに従業員が望めば、MBAなど企業外でも教育も積極的に支援しています。優秀な社員がさらに優秀になるための仕組みを整えています。

最後に

アマゾンの原則OLPは、1企業のルールだけではなく、私たちが生きる上でも大切なことを教えてくれます。人はどうすれば幸福に生きられるか。どうすれば、人生をより良くできるのか。どうすればスキルを磨くことができるのか。そんなヒントになる1冊でした。

本書を通じて、個々の成長が企業全体の成長につながるという理念を再確認しました。個人の努力と組織のサポートが一体となって初めて、真の成功が得られるのだと感じました。日々の仕事においても、この理念を胸に刻みながら、自分自身の成長とともに組織の発展に貢献していきたいと思います。


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