俺たちの箱根駅伝 【箱根駅伝を複数視点から描いた作品】

BOOK

著者:池井戸 潤
出版社:文藝春秋

本作品は、明誠学院大学が箱根駅伝の予選から敗退するシーンから始まります。主将の隼人はチームメンバーを引っ張り、最高の走りでチームを箱根に導く予定でしたが、その夢は半ばに終わってしまいます。そんな中、学生連合チームとしての出場話が舞い込んできました。前任監督が突如辞任を発表し、新監督としてOBの甲斐が起用されます。明誠学院大学としての出場は叶わないものの、各大学の優秀な選手が集結した学生連合チームとして箱根に出られるのです。

ストーリーの概要

学生連合チームは、大学の意思を受け継いだ一般チームとは異なり、個人個人の寄せ集めです。そのため、チームの団結力や大会に対する思いが異なることが懸念されます。しかし、甲斐監督は箱根駅伝の名ランナーとしての経験とサラリーマンとしての経験を活かし、他大学とは異なるチーム運営を行います。彼は総合3位という実現不可能と思える目標を掲げ、チームメンバー一人一人に「自分で考えるよう」促し、独自の審美眼によりチームの意思と団結を深めていきます。

本作品の後半では、2008年の箱根駅伝で学生連合が4位の成績を収めた伝説的な大会を彷彿とさせます。記録には残らない寄せ集め集団が、何のために走るのか。それぞれの大学が持つ歴史と命を背負って走る他チームとは異なり、個人が箱根駅伝に対する思いは軽くなりがちです。しかし、甲斐監督の指導により、学生連合チームは一つにまとまり、逆境に立ち向かいます。

所感

学生連合チームが技術や能力を高めていく様子は感動的で、特に甲斐監督の指導方法には驚かされました。彼の指導によって、チームメンバーが自己成長し、個々の力を最大限に発揮する姿は胸を打ちます。甲斐監督は各メンバーに考える力を養わせ、支え合う重要性を教え、100キロ以上の距離を走る中で発生するトラブルも、彼らを支える仲間がいることを伝え、ランナーそれぞれの強みを生かした走りを助長します。

世間からの逆境にさらされながらも、学生連合チームが一丸となって目標に向かって突き進む姿は感動的です。自分自身もこの物語を通じて、他人を思いやり、共に成長することの重要性を再認識しました。人間は誰かを思って、一歩ずつ進めば、とてつもなく遠くに行ける生き物です。自分が本当に大切にしたいもの、価値観を見つめ直し、これからも意識して生きていきたいと思います。

最後に

この作品は、単なる駅伝競技の話に留まらず、人間の持つ強さ、友情、そして団結力の重要性を描いています。学生連合チームのメンバー一人一人が、自分自身を超えていく過程には、多くの学びと感動が詰まっています。彼らの姿を見て、自分もまた、どんな困難な状況にあっても、他人を信じ、助け合いながら進んでいきたいと強く感じました。社会や職場、家庭での人間関係においても、この作品が教えてくれたことを実践していきたいと思います。人生の中で直面するさまざまな挑戦に対して、前向きに、そして誰かと共に乗り越えていく姿勢を持ち続けたいです。


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